ドイツへ移民したトルコ系一家の笑って泣けるテンポの良いドイツ映画。映画全体の色使いがなんだかノスタルジックで素敵。
ちょっと頑固だけど懐深くてお茶目なフセインじいさんもいい味出してます。
原題は”Almanya – Willkommen in Deutschland-”
■あらすじ
第二次世界大戦後、1950年代には労働力不足に悩んでいたドイツは、60年代には伝統的に受け入れていた南欧からの移民に加え、トルコからの移民も多く受け入れていた。イルマズ家の大黒柱フセインも明るい未来を夢みてドイルへやってきたトルコ人移民のひとり。
一生懸命働いて、妻子をドイツへ呼び寄せ、早50年。孫にも恵まれドイツで幸せな生活を送っているように見える…が、それぞれが悩みや問題を抱えていた。フセイン自身ももやっとドイツへの帰化が認められたのになんだか不機嫌。
ある日フセインは「トルコにある故郷に家を買ったから家族皆んなで行ってみよう」と提案。家族の反対を押し切って決定してしまう。
皆トルコにルーツはあれど、ドイツで生まれ育った孫世代はもちろん、幼少期にドイツにきた兄とドイツで生まれた弟の間でもトルコへの思い入れには差がある。そんな家族が約3000kmの道のりをオンボロバスでおじいちゃんの故郷のあるトルコへ向かう。
監督はトルコ系移民2世のヤセミン・サムデレリ。脚本は妹ネスリンとの共同執筆。姉妹の実体験を基にして書かれているとのこと。なるほど、宗教も言葉も違う中で生活していくトルコ人家族の様子や家庭内の世代間ギャップなど、当事者じゃないけど、「あー、こういうのありそう!」と思うシーンがたくさんあったのも納得。
可愛い孫は自分の母国語であるトルコ語が話せない。故郷の味であるトルコ料理が苦手な子供…どんなに長く異国で暮らしていても、自分の根っこはトルコにあると思っているフセインじいさんにとって、それらは寂しいこと。でも仕方のないこととも思っているからあまり口にはださない。その様子が見ていてとても切なくなります。日本でも自分が大好きな実家の味を我が子に否定されるってきっと悲しいにちがいない…それを言葉やちょっとした習慣でも感じるのはいかばかりか…
そんな切ないシーンがありつつも、くすっと笑える演出がたくさんあって、重苦しくなく楽しくみられる映画です。
世代間ギャップとは別にそれぞれが抱える問題もなんとなく着地点が見えていくので、後味よいです。一見の価値あり!
↓レンタル版もあります!